自己実現という言葉は、ビジネス本などでもよく目にしますが、誤解されやすく、正しい意味を理解されないまま使われることもあるようです。
そもそも自己を実現するというのは具体的にどういうことなのでしょうか。
どう行動すれば自己実現につながるのでしょう?
今回の記事では、そんな疑問にお答えするために曖昧な自己実現の意味や、具体的に自己実現できている人の特徴を解説します。
また、自己実現をするための5つアプローチ方法についてお伝えしますので、関心のある方、目指している方は必見です。
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自己実現とは?簡単に解説
もともと自己実現という言葉は、心理学の用語でしたが、自分の夢を叶えるための自己成長のような意味で使われることがあります。
しかし、これは誤用で、自己実現とは、目標を達成することや成長すること、賞賛を浴びることではありません。
また、自分の好き勝手にやりたいことができる状態とも違います。
色々な人や場所の中で定義されていますが、その中でも、現代に最も影響を与えているとされるのが、心理学者であるマズローが提唱する自己実現です。
マズローが発表した人間の5大欲求の最後の欲求として提唱された概念で、人間はすべての欲求を満たすことで「人間本来のありのままの姿」になるというもの。
自己実現で叶えるものは自身の欲求であり、偽りのない自分の姿で行動した結果、社会が豊かになり社会貢献につながる状態が「自己実現」であるとされています。
まず正しく理解を深めるために、マズローの考えを見ていきましょう。
心理学者マズローが提唱する自己実現
マズローが提唱した「欲求階層説」では、人間の欲求には大きく分けて下記の5つの段階があるとしています。
1層:生理的欲求
2層:安全欲求
3層:社会的欲求
4層:承認欲求
5層:自己実現
「自己実現にたどり着くまでに人間は4つの欲求を持ち、段階的にその欲求を満たしていく」という過程が具体的に説かれていて、自己実現は、人間が最後に行き着く欲求であるというものです。
また、それぞれの欲求はピラミッドのように積みあがっていて、下の階層から順に欲求が満たされるとより高次の欲求が生じるとされています。
ただ、実際は必ずしもこの5つの階層通りに欲求が生じるわけではなく、人によっては、社会的欲求よりも承認欲求を優先する人もいるなど、重要視する欲求の順序が異なることもあるでしょう。
それでは、各階層の欲求について詳しく解説していきます。
生理的欲求
一番下の段である「生理的欲求」はピラミッドを支える土台の部分を担います。
生きていくために必要な食欲や睡眠欲、性欲、呼吸、排せつなどの本能的な生理的欲求は、必ず満たすべき部分とされます。
例えば、仕事が忙しくて食事や睡眠が思うように取れていない状況は、生理的欲求が満たされていないといえるでしょう。
安全欲求
ピラミッドの下から2段目に位置するのが「安全欲求」。
身の危険がなく安定した生活を送りたいといった欲求で、具体的には住居やお金、健康などに関する欲求を指します。
経済的に不安定で先の見えないその日暮らしでは、生活のこと以外を考える余裕がありませんよね。
家賃が払えない、病気がちで思うように動けないなどの状況は、安全的欲求が満たされていないといえるでしょう。
社会的欲求
3段目の「社会的欲求」は、友人や家庭、会社の仲間といった他者とのつながりを持ちたいという欲求のことです。
社会的欲求は他者と関わることでしか達成できません。
何らかの社会や集団へ所属することで安心感を得たいという欲求であり、「帰属欲求」とも表現されます。
例えば、「退職してから居場所を失ったようで寂しい」と感じるのは、社会的欲求によるものです。
人間には、心の拠り所となる他者の存在が不可欠だと言えるでしょう。
承認欲求
4段階目は「承認欲求」です。
社会の一員として周りとのつながりができると、次に周りの人たちから認められたいという「承認欲求」が生まれます。
例えば、一目置かれる人になりたい、仕事で評価をされたいなど。
近年ではSNSで「いいね」をもらいたいなど、不特定多数からの承認を求める傾向があります。
このような承認欲求は、他人から認められたい「低位の承認欲求」と、他人からではなく自分を自分で承認したい「高位の承認欲求」の2つに分類されます。
他人からの評価が得られると、次は自分自身でどう思うかを重視するようになるという段階を経て変化することもあれば、性格や環境などによって、どちらかに偏ることもあるでしょう。
この承認欲求が満たされないと、劣等感などが生じてしまうことになります。
自己実現欲求
ピラミッドの5段目の欲求が「自己実現」です。
これまでの4段階の欲求が満たされると、「才能を発揮して自分にしかできないことを成し遂げたい」「自分らしくありのままに生きたい」などの欲求が生まれます。
そんな欲求を満たすには、社会的な成功だけではなく、理想の自己イメージと一致していることが重要な鍵となります。
マズローは、「自己実現の欲求」以外の4つの欲求は、満たされない空白を埋めようとする「欠乏欲求」だと説明しています。
しかし、自己実現欲求だけは「成長欲求」であるとしました。
成長欲求とは、足りないという欠乏感を埋めるものではなく、むしろ自分の内側から溢れ出てくる豊かさから生じる欲求のこと。
他者や周りの環境に関係なく、自分自身がそれをすることで本来の自分になれるからするということです。
自己実現できている人の6つの特徴
ここでは、自己実現ができている人に共通している特徴を6つご紹介します。
自分の気持ちに正直に生きている
自己実現ができている人は、自分の気持ちに正直に生きているため、ありのままの状態でいることができています。
ただ、自分の気持ちに正直に生きるというのはなかなかできることではありませんよね。
他人と関わって生きていくためには、自分の意見を抑えて周りに合わせたり、周りの顔色をうかがって行動しなければならない場面もあると思いますが、自己実現を叶えている人は、このような状況下でも、自分自身に対しても嘘をつくことはしません。
もちろん、周りの意見を全く聞かず、自分勝手に生きているということではなく、自分の意見を尊重してもらえる環境や立場を作っていくことも考えています。
また、自分軸で主体的にやりたいことをする上で、自身の行動が社会に与える影響の責任を受け容れ、本質的な意味での自由を謳歌しているのです。
視野が広く創造的な考え方ができる
視野が広く創造的な考え方ができるというのも自己実現できている人の大きな特徴です。
新しい事を始めようとした時、今までのやり方にとらわれたり、マニュアル通りの行動では自分らしく生きていくのは難しいですよね。
ですが、自己実現ができている人は、視野が広いため従来のやり方に縛られない発想ができ、新たなものを創造することにも長けています。
また、周りには色々な意見があることを理解し、その意見を聞いてうまく取り入れ、相手と協力した経験の中から多くを学びます。
そして、それらを自分の人生に活かしているのです。
つまり視野が広く創造力をもつ人は柔軟性が養われているため、置かれたどのような環境においても自分らしく生きることができるといえるでしょう。
自分も他人もありのままで受け入れられる
自己実現できている人は、自分のなかの嫌な部分や抱えているコンプレックスも自分の一部と認め、ありのままの姿を受け入れながら生きています。
人にはそれぞれ個性があってさまざまな価値観がありますから、他人のことを羨ましく思ったり、考えが合わずに衝突してしまったりすることもあるでしょう。
しかし、自己実現できている人は、自分と違うからという理由で他人を否定することはせず、他人の良いところはもちろん、自分と異なっていることもそのまま受け入れます。
また、「人は人、自分は自分」と比べることもしないので、優越感も劣等感も感じません。
自分も他人も長所、そして短所までもそのまま受け入れて、比較することなく生きているのが自己実現をかなえている人といえるでしょう。
自分の能力や可能性を発揮できている
自己実現を達成できている特徴として、「自分の能力や可能性を発揮できている状態」ということも挙げられます。
自分の能力や可能性というのは、得意なことやスキルなど今持っている強みや、自覚していない強みということができます。
そのため、自分の強みを活かして社会に役立つことをしているのが自己実現できている人といえるでしょう。
自分の強みを発見したら、その強みを発揮できることに向かって、能動的に努力をし続けます。
例えば、芸術分野で活躍している人をイメージすると分かりやすいかもしれません。
自分の才能を最大限発揮しながら、人々の心を動かしたり癒すという社会貢献をしています。
自分の価値観や基準に従って行動できる
自己実現を叶えている人は、自分らしくいることを実現するために行動し、周りや社会の評価を気にしません。
自己実現のためとはいえ、周りの意見に流されず自分の基準で行動し続ければ周囲との関係がうまくいかず孤立する可能性もあるでしょう。
それでも、周りと違う考えを持ったり行動することを恐れることがなく、時には社会という群れから離れて生きていくことを選びます。
つまり、周りからの制約に左右されることなく、自分の価値観や信条など内的要素に従って行動できる自律性の高い人が自己実現を叶えることができるといえるでしょう。
共同体感覚を持っている
自己実現ができている人は自分の基準で行動するため、他人には興味がないように思われがちですが、それは誤解であって共同体感覚を持っています。
共同体感覚というのは、人間は皆互いを支え合う仲間であるという感覚です。
そのため、何かあれば周りの人達と助け合うことが当たり前だと思っています。
また、周りの人達を尊重、信頼し、被災地に寄付したり人を助けて社会に貢献することに幸せを感じるため、そのような行動を通して自分らしく生きることができるのです。
自己実現するための5つのアプローチ方法
では自己実現するために、具体的にどのようなことをすればいいのでしょうか。
アプローチ方法を5つ紹介するので、自分の人生をより良いものにするためにぜひ参考にしてくださいね。
欲求階層説の各階層の現状を見直していく
繰り返しになりますが、自己実現は目標を達成することや成長すること、賞賛を浴びることではありません。
健康や安全、生活面での安心感の上、社会や他者との関わりから自分が認められることで、最後に自分の能力を引き出し創造的活動がしたいなどの自己実現欲求が生まれます。
そのため、この説で大切なポイントは、下位の欲求が順番に満たされて、はじめて上の層を目指す様になるということです。
自己実現を達成していくために、まず今の自分が先にご紹介した欲求階層説のそれぞれの欲求を満たせているのか把握しましょう。
下記の判断材料を参考に自分と向き合い、その欲求を満たすために取り組むことで、ありのままの自分でいることを叶えられる可能性が高まります。
<生理的欲求>
今の健康状態はどうか、どのような状態であれば自分は健康といえるのか
<安全欲求>
生活全般が安心できる快適な環境が手に入っているか、どのような経済状態であれば安心できるのか
<社会的欲求>
改善すべき人との関わりはないか、どのような社会、人間関係だと心が満たされるのか
<承認欲求>
誰に認められたいか、どのような状態であれば他人から認められ自分も認められるのか
<自己実現>
どんな能力や可能性を発揮して社会に対して貢献していきたいのか
自分の価値観を理解する
自分の気持ちに正直に生きるには、自分の価値観を理解することが大切です。
価値観とは、あなたが大切だと思っていること。
あなたにとっての大切なものを理解することが、マズローが唱える「ありのままの姿」という手掛かりになります。
例えば、「家族」「健康」「お金」「パートナー」「自由」「仲間」「挑戦」「成長」などで表わされますが、私たちを動かす原動力であり、これらの価値観を満たす行動が、充実感や満足感を得ることができると言います。
つまり価値観は、やる気やモチベーションを生み出す鍵となるのです。
もしも1,000万円が大切なものに紐づいていれば、夢中になって動くことができますが、逆に1円でも、大切なものに結びついていなければ、動く力になりませんよね。
価値観を引き出す質問に答えて自分の価値観を理解していきましょう。
・どんなことで感動したり幸せを感じますか?
・あなたの興味のあることに共通している価値観は何ですか?
・今の自分に一番大きな影響を与えた人は誰ですか?
・今何かが足りないとしたら、何が足りませんか?
・これまでの人生で大きな決断をしたときの判断基準は何ですか?
・これまでの人生で許せなかったことは?その理由は何ですか?
・もし時間を戻せるならこれからは何に時間を使って生きたいですか?
・今後の人生に必要ないと感じるものは何ですか?
・あなたの子どもに一つだけ人生のアドバイスをするとしたら何ですか?
・死んだ後に周りの人からどんな人だったと言われたいですか?
強みとなる得意なことや才能を見つける
自分の可能性を発揮するためには、あなたの強みである得意なことや才能を見つけることがとても重要です。
とはいえ、それらは自分にとっては特別な能力というよりも自然とできることなので、気づきにくく見つけることは結構難しいですよね。
自覚できるものもあると思いますが、わからない場合は、下記のような質問をしてみましょう。
・あなたが自然と上手くできることは何ですか?
・あなたがよく頼まれることは何ですか?
・あなたの家系に多い職業は何ですか?
・人にやってあげて感謝されたり喜ばれたことは何ですか?
・人から褒められたり、すごいと言われることは何ですか?
・時間を忘れて夢中になれることは何ですか?
・やっていて楽しい、心地よいものは何ですか?
・あなたがワクワクする、ときめくことは何ですか?
・今までに早く習得できたことは何ですか?
・今まで何に多くのお金や時間を使ってきましたか?
・今までの最高の成功体験はどんなことですか?
・子供の頃大好きだったことは何ですか?
また、周りの人に聞いてみるという方法もあります。
自分の身近な人に「私が得意なことってなんだと思う?」と聞いてみると、意外な答えが返ってくるかもしれませんよ。
さらに客観的なテストで診断することもできます。
詳しくは、下記の記事を参考にしてみてくださいね。
無欲で没頭し熱中する
マズローは、自己実現へ向かうための行動として、「無欲で没頭し熱中すること」を挙げています。
これは自己実現へと至る方法であると同時に、自己実現している人達自体の特徴ともいえます。
ちなみに、ここで言う「無欲」というのは、打算的な欲望をもつことなく、ただ純粋な好奇心や探究心からそのことに没頭することを意味しています。
これはマズローが「欠乏欲求」と呼んだ、自分の外側から与えられるものによって満たされる欲求には従わないということです。
実際、自己実現をしている人々は、自分の内側から溢れ出す「自己実現の欲求」から行動しています。
そして、マズローがこのような特徴を説明する際に例としたのが、「子供」でした。
私たち誰しもが、子どもの頃は自然と無欲で没頭することができていましたよね。
なぜ、それができなくなってしまったのでしょうか。
私たちは、大人になるにつれて、損得勘定や効率性などに従って行動するようになるからです。
信じられる根拠や目的がなければ、何もできなくなってしまいがちに。
さらに、義務や我慢、自己犠牲の上に成り立つことが当たり前になって、そのことを客観的に自覚することもなくなりますから、到底、没頭し熱中することはできなくなってしまいます。
一方で、子どもというのは無欲であるが故に心のおもむくままに素直に自分を表現し、ただ単純に「それをやりたいからやる」だけです。
同じく自己実現に生きている人は、社会人だからといって、あるいはお金を稼ぐ必要があるからといって、没頭できない物事に取り組むことはしません。
時間を忘れて目的も目標もなくやってしまう、ただそれをすること自体に意味を見い出している状態です。
このように本当の意味で熱中できている状態、子供の頃に感じていた感覚を思い出すことこそ、この方法を実践する上での一歩になるのではないでしょうか。
とにかく自分の気持ちに正直に生きる
自分の気持ちに正直になることが、自己実現への道のりにおいてとても大切なポイントです。
自分の気持ちに正直に生きることは、我儘を通すことではなく自分の内なる声に耳を傾けることです。
例えば、一般常識や社会的通念、自分以外の他者の意見に惑わされることなく、自分自身の感覚や感性、感情を大切にし判断するということ。
自己実現は自分の素直な気持ちと行動が一致して初めて達成できるものですから、まずはできるだけシンプルに、やりたいことをする、やりたくないと思うことはしないという気持ちで行動を起こしてみてはいかがでしょうか。
結果的にやりたいことをひたすらやっているうちに、自然と社会貢献になっているというのが理想です。
本来自己実現とは、「〜になりたい」と目指すものではなく、自己実現できていたと後から気がつくものですから、自分のためにやりたいことをとことんやってみること。
はじめから、社会の役に立つかなと考えて取り組んでしまうと、自分のありのままの状態とはズレて自分を見失ってしまう場合があります。
難しく考えず、まずは「自分の正直な気持ちに従って生きる」を実践しましょう。
まとめ
【自己実現とは?簡単に解説】
偽りのない自分の姿で行動した結果、社会が豊かになり社会貢献につながる状態のこと
【心理学者マズローが提唱する自己実現】
マズローが提唱した「欲求階層説」では、人間の欲求には大きく分けて下記の5つの段階があるとし、自己実現は人間が最後に行き着く欲求とされる
1層:生理的欲求
2層:安全欲求
3層:社会的欲求
4層:承認欲求
5層:自己実現
【自己実現できている人の6つの特徴】
- 自分の気持ちに正直に生きている
- 視野が広く創造的な考え方ができる
- 自分も他人もありのままで受け入れられる
- 自分の能力や可能性を発揮できている
- 自分の価値観や基準に従って行動できる
- 共同体感覚を持っている
【自己実現するための5つのアプローチ方法】
- 欲求階層説の各階層の現状を見直していく
- 自分の価値観を理解する
- 強みとなる得意なことや才能を見つける
- 無欲で没頭し熱中する
- とにかく自分の気持ちに正直に生きる
今回は、自己実現の意味や具体的に自己実現できている人の特徴、また、自己実現をするための5つのアプローチ方法についてお伝えしてきました。
今まで考えていた自己実現とは、少し違ったという方もいらっしゃるかもしれませんね。
自己実現を叶えるためには、自分のことをよく理解し、自分が持つ可能性を信じて行動していきましょう。
この記事を読んでくださったあなたが、ありのままの姿で自分らしく生きられることを、心より応援しています。
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